部門紹介
創薬・診断技術開発部門

研究概要

 有望な診断・治療標的分子の解明から実際の診断薬・治療薬の開発を行うとともに、人工知能(AI)やIoTなど最新の情報科学技術応用による新規診断・治療技術やデバイスの開発を行い、これを実利用に結びつけることを目指します。
 例えば、「痛み」は80%以上の患者さんが訴える症状で、高齢化に伴い患者さんに限らず、国民の60%以上が痛みに悩まされており、厚労省も慢性痛への対処を厚労行政の重要な課題に位置付けています。
 そして、がん患者に限らず加齢に伴う疾患の多くは完全な治癒や寛解は困難であり、診断時点から除痛をはかり、Quality of Lifeを改善することが必要です。このため鎮痛法・鎮痛薬の選択が重要ですが、消炎鎮痛薬やオピオイドは重篤な副作用があり、長期使用は推奨されません。
 こうした背景から、これまで新規鎮痛薬の開発が行われてきましたが、痛みの伝導路や分子機構は未だ十分に解明されておらず、痛覚のみを遮断し、副作用のない薬物は未だ開発されていません。
 そこでこの問題を解決するために、私達は、ヒトの無痛症に着目し、その症状を引き起こす分子を標的とすれば、これまでにない新しい作用機序の、副作用のない鎮痛薬が開発できると考え、創薬を進めています。
 また、老化に関連して起こる疾患の多くの病態生理に慢性炎症が深くかかわっていると理解されています。これらの炎症は多くの場合、外来性の物質ではなく、内因性の物質が老化や生活習慣により増加して働くため、取り除くことが困難で、持続的な炎症反応が起きてしまいます。このような疾患は数多くあり、例えば、動脈硬化、糖尿病、痛風、各種神経変性疾患がこれにあたります。これらの原因解明、新しい診断・治療法の開発にも取り組んでいきます。
 さらに、近年のAIの発達を利用して、腫瘍の新しい病理診断技術などを開発し、今後、期待され、かつ必要な、人間の能力を超えた情報科学技術を医療に応用していく道筋をつけたいと考えています。
 アカデミアの知見を実用化するためには、ivory towerから出て、泥臭い努力も実行していかなくては実現しません。ただのお題目や、絵に描いた餅ではなく、研究成果、開発技術を本当に実用化するために必要なあらゆることを私達は実行していきます。

研究プロジェクト

新規麻酔薬/鎮痛薬の開発
新たに発見した遺伝子変異によるチャネロパチー(無痛症)をもとに、痛みの分子機構の解明と、副作用のない新規麻酔薬/鎮痛薬の開発を行なっています。新規麻酔薬/鎮痛薬により、患者さんを痛みから解放することを目指しています。

無痛症患者さんは痛みを感じないために、骨折などを繰り返します(A、B)。この原因として、新たに発見した遺伝子変異によるナトリウムチャネル(C※https://en.wikipedia.org/wiki/Sodium_channel)の機能異常が原因であることを同定しました(D、E)。このような遺伝子変異によるタンパクの構造変化を予測し、バイオインフォマティクスなどによる新規薬物の開発を目指します。

人工知能を利用したがんの治療予測法開発
ディープラーニング等を含む人工知能(機械学習)を用いた、高精度な、がん治療予測システムの開発を行っています。医療分野は「生命」および「人の気持ち」にダイレクトに関わる分野です。既存の医師による診断の単なる代替とは異なる、分かりやすい定量的なエビデンスを提供できるシステム開発を目指しています。

人工知能による病理画像解析例。人工知能によって、青い細胞(良性組織にいる可能性が高い細胞)、赤い細胞(悪性病変周囲にいる可能性が高い細胞)に分類されている。また各々の高さ(Z軸)は識別境界(黄色)からの距離を表している。(※http://ganshien.umin.jp/research/spotlight/yamamoto/index.htmlより抜粋)

受容体技術を利用した加齢性疾患の新規診断・治療法の開発
疾患原因となる内因性物質の認識機構を解明し・新規診断・治療法へ応用

川真田樹人

(部門長)

学術研究院 教授(医学系)/麻酔蘇生学教室/博士(医学)

研究分野

麻酔蘇生学、疼痛学、神経生理

研究テーマ

一億総活躍プランに、慢性痛とがん性痛対策が盛り込まれ、痛みの解明と軽減は国民的な課題と認識されています。急性痛の慢性化を予防する診療を確立するとともに、さまざまな痛み病態の機序解明を行い、末梢/中枢神経をターゲットとした副作用が少なく治療効果の高い新規鎮痛薬の開発を目指します。

ホームページ

http://www.shinshu-masui.jp

沢村達也

(センター長)

学術研究院 教授(医学系)/生理学教室/博士(医学)

研究分野

血管医学、薬理学、生化学、加齢医学

研究テーマ

C型レクチン様受容体LOX-1やそのファミリー分子等の研究を通じて、加齢に伴う生体制御機構破綻のメカニズムとその本来の役割を明らかにし、その知見を応用した、新しい診断・予防・治療手段を開発することを目指しています。

ホームページ

http://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/medicine/chair/i-1seiri/

中田勉

学術研究院 講師(医学系)/薬理学教室/博士(理学)

研究分野

分子薬理学、分子生理学

研究テーマ

・電位依存性イオンチャネルの細胞内局在と機能解析

・各種病態におけるイオン輸送体の役割の解明

ホームページ http://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/medicine/chair/i-yakuri/index.html

山本陽一朗

学術研究院 特任講師(医学系)/病理組織学教室/理化学研究所 革新知能統合研究センター 病理情報学ユニット ユニットリーダー/博士(医学)

研究分野

病理画像解析、医療人工知能

研究テーマ

・人工知能を用いた癌治療予測システムの開発

・細胞形態情報を含む医療ビッグデータの統一的解析

ホームページ http://ganshien.umin.jp/research/spotlight/yamamoto/index.html

石田高志

学術研究院 助教(医学系)/麻酔蘇生学教室/博士(医学)

研究分野

麻酔科学

研究テーマ

手術侵襲による痛み、特に運動(骨・関節・筋)の痛みについて臨床・基礎的研究手法を用いて、その機序解明及び新たな治療法開発を目指し研究を行っている。

ホームページ http://www.shinshu-masui.jp

藤田佳子

学術研究院 助教(医学系)/生理学教室/博士(医学)

研究分野

薬理学、病態生理、生理学

研究テーマ

動脈硬化性疾患などの心血管疾患発症メカニズムを血管の作働分子に着目して解析し、作働分子の作用を応用した診断・治療・予防を目指しています。多くの人の健康に貢献できる成果を出すことを心がけています。

ホームページ http://www.shinshu-u.ac.jp/faculty/medicine/chair/i-1seiri/

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